The Time Machine (1960) Part 1



タイムマシンは、タイムトラベルの道具として使われる。主にSFの分野での舞台設定や小道具として利用される機械である。

タイムマシンは、1895年にH・G・ウェルズが発表した『タイム・マシン』に登場したのが最初である。ただし、タイムマシンは使わないがタイムトラベルを扱っていると見なせる物語はウェルズの作品以前にもあり、詳細は「タイムトラベル物語の起源」の記事に書かれている。このウェルズのタイムマシンは、産業革命により様々な移動手段が開発された事や科学万能主義が契機となり、それを時間軸に拡張したものだと考えられる。 ウェルズのタイムマシンは単純に時間を移動する事だけを目的としたもので、空間を移動する機能はついていなかった。

タイムマシンを形態で分けると、以下のようなタイプがある。

乗り物としてのタイムマシン: 宇宙船や自動車、電車のような形態のものなど類型が多いタイプ。移動機能、飛行機能が備えられている場合もある。例:H・G・ウェルズの『タイム・マシン』(これは空間移動能力は持たなかった)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン(これは移動機能を持っていた)仮面ライダー電王のデンライナー(移動機能を有し、異次元空間を移動しタイムトラベルを行う)、ドラえもんのタイムマシン

転送装置としてのタイムマシン: 地上に設置された大型の転送装置により、時間旅行者を特定の時空に転送したり回収を行うタイプ。例:『タイムトンネル』(連続テレビドラマに登場したもの)『ビジョナリアム』(ディズニー)のタイムチェインバー

通信手段としてのタイムマシン: 時空を超えて情報を伝達する機能のみのタイプ。SFでは意図して作られた装置だけではなく、偶然に過去や未来と接続してしまった電話や受像機である場合もある。例:『オーロラの彼方へ』のアマチュア無線機

タイムマシンの時間移動方法で分けると、以下のようなタイプがある。

時間を加速する/巻き戻すタイムマシン: タイムマシンを起動すると、時間旅行者からは未来に向かう場合は周囲の時間が加速して見え、過去に向かう場合は巻き戻されているように見えるタイプ。位置座標の移動は行わない。ウェルズのタイムマシンなど、古典的なタイムマシンで、現代のSFでは理論的な不具合や表現手法の問題であまり用いられない。

亜空間や四次元空間を経由するタイムマシン: 時間を超越する設定の亜空間や四次元空間を利用し、現在と未来・過去を接続して時間旅行を行うタイプ。現代のSFでは主流のタイプである。

亜空間や四次元空間を経由するタイムマシンの場合、目的地が水中や地中など地上である保障はないため事前の状況把握が重要となる。「タイムトンネル」では転送の際には、目的地の状況を過去文献等で確認するなどの事前準備を行っていた。タイムマシンが地球の重力に縛られている保証もないため、地球の自転や公転銀河系レベルでの移動の影響なども、SF設定上の議論になることも多い。

タイムマシンや時間旅行は、現実の学問としても理論的な実現の可能性が研究されている。その特性的相違から、過去と未来への時間旅行の実現方法や研究はそれぞれが大きく異なる。

未来への時間旅行は現代へ帰還しない、すなわち相対的過去への時間旅行を伴わない片道旅行であるならば、運動している物体時間の遅れを利用した相対性理論における観測系ごとの相対的時間進行差により理論的には実現が可能とされている。具体的には光速に近い速度で飛行するロケット内部では外部より時間の進みが極めて遅くなるため、内部では1時間の飛行も外部では数年に相当するようなウラシマ効果が発生するが、これを利用することで搭乗者にとっては見かけ上1時間で数年先の未来へ時間旅行が実現するものである。また、ブラックホール近傍のような強い重力下でも時間の遅れが発生するが、これを利用する方法でも同様の効果が得られる。どちらの現象も検証実験がなされており、微少ではあるが理論値どおりの効果が確認されている。

過去への時間旅行の可能性として、数学者クルト・ゲーデルは1949年に全宇宙がゆっくり回転しているなら、宇宙旅行によって過去への時間旅行を可能とするゲーデル解の見解を発表した。ただし我々の宇宙が回転している証拠は見つかっていない。テューレーン大学の数学者フランク・ティプラーは1974年に、超高密度の筒状の物質を超高速で回転させることで、過去と未来へ移動可能なティプラーの円筒(ティプラー・マシン)のアイデアを発表した(後にジョン・グリビンという学者が「直径十km、長さ百km、質量太陽と同じ円筒」を2500回転/sで回転させればタイムマシンになると発表した)。ただしこの方式には円筒が作られるより前の過去へは移動出来ないという制限がある。またカリフォルニア工科大学キップ・ソーンは1988年に、通過可能なワームホールを考察し、量子の泡から生まれるワームホールを広げて利用する時間旅行の概念を発表した。その他にもプリンストン大学物理学者リチャード・ゴットによる2本の宇宙ひもを利用する方法、物理学者ヤキル・アハロノフによる巨大風船が及ぼす体積あたりの重力の増減を用いた方法がある。

これらの過去へ遡るアイデアは、基本的には現代で認められている物理学を使って論じられているが、物質に対するエネルギー的な仮定や時空のトポロジーの変形など現代の技術ではすぐには対処できないような仮説の上に成立している。スティーヴン・ホーキング因果関係に基づく時間順序保護仮説を唱え、タイムマシンについては懐疑的な立場である。彼は、過去へ繋がる閉時曲線が構成されそうになった場合は重力場の量子効果が大きくなり、過去への経路ができるのを阻害するとの仮説を取り、「そもそも未来からの時間旅行者がいないのがタイムマシンが存在できない証拠」として、過去への時間旅行を否定する立場を取っている。ただし、タイムマシンが将来的に完成するかどうかに関しては「私は誰とも賭けをしないだろう」と、その可否に可能性を残す発言をしている。

過去への時間旅行については実現に対する可能性の是非以外にも、ワームホールや宇宙ひもなどを利用した場合にも、その作動原理からタイムマシン建造以前の過去へ遡れるかという機能的制約面についての議論も続いている。実際問題として、現代に未来人がタイムマシンを利用して登場していない事から、未来永劫過去に戻るタイムマシンの開発は不可能であるという理論も成立する。

また、よしんば時間移動が可能になったとしても、地球は自転し、公転し、さらには太陽系や銀河自体が相対的に猛烈なスピードで移動している。航時者搭乗型のタイムマシンの場合は、時間移動の他に過去あるいは未来の正確な位置を予測し、その場所への空間移動能力も備えていないと、時間移動した途端にとんでもない空間に放り出される可能性も指摘されている。

日本では「タイムマシン」に関するとされる特許が現在10以上も登録されており、それらの詳細は特許庁特許電子図書館などで読むことができる。

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